桃山学院教育大学 桃山学院教育大学
Team桃教

“魔の2歳児”って
いうけど実は…。

発達を知れば対応がわかる

何を言っても「イヤイヤ!」。しまいには床にひっくり返って大泣き。抱き上げようとすると手足をバタつかせ、さらに激しく泣きわめく……。1歳後半~2歳頃によくみられる状態です。「魔の2歳児」とも言われているこの姿、実はこれも大切な発達過程のひとつ。自我が芽生え、それを何とか伝えたいという気持ちの表れです。ではどうかかわってあげればよいでしょうか。例えば、「こうしたかったんだね」とその気持ちを受け止めたうえで、別の楽しいことを提案してみます。「あれ? いいにおいがする。今日の給食はカレーかな。みにいってみようか」。気持ちを切り替えるタイミングをつくってあげると、目を輝かせて給食室に走っていったりします。自我を出しながらも、相手との間で自分の気持ちを調整する、そんなことが2歳児にできるんだ。この驚きと発見が20年以上前から始まった私の2歳児研究の原点です。

先生が楽しいと子どもも楽しい

子どもの発達を理解して、その一歩先を見据えた環境を用意することは保育者の大切な役割です。子どもたちと鯉のぼりづくりをすることを想定してみましょう。あらかじめ、画用紙に切り込み線を入れておいたほうがいいのか、直線だけでなく、曲線でも切れるのか、むしろ白紙の画用紙を渡して、子どもが思い浮かんだ鯉の形に自由に切ってもらったほうがよいのか…。制作する子どもたちの年齢によっても活動内容は異なります。クラスの子どもたち一人ひとりの発達状況を思い浮かべて工夫をこらす楽しさがあります。子どもとのかかわりも一つひとつ創りあげていく面白さがあります。例えば、子どもが本来と違うおもちゃの使い方をして遊んでいたとき、それを認め、「わぁ面白い! もう一回やってみよう」と一緒になって楽しめる保育者になれること。そうすれば、子どもたちが「こんなことができるよ!」と、それぞれに創造性を発揮して、笑顔溢れるクラスになります。保育とは、子どもから教えられたり、アイデアをもらったりして、一緒に楽しんでつくりあげていくものなのかもしれません。

山本 弥栄子准教授

専門分野
言語発達・発達(保育)相談、保育教材研究

子どもが好きで、高校生の頃から自ら保育園に「アルバイトを募集されてますか?」と電話をかけ、アルバイトを買って出るほど。また、教材研究に造詣が深く、子どもの発達過程に応じた教材制作にも、手づくりで取り組んでいる。はまっているのは、フクロウの置物を集めることで、旅先でもついつい探してしまうとか。そのいくつかは研究室に飾られている。

先生のお子さんにも好評な手づくりの手遊びの教材。