桃山学院教育大学 桃山学院教育大学
Team桃教

ごんぎつねは
大人のきつね?
子どものきつね?

MESSAGE MOVIE

物語を詳しく読む国語の授業は、
とても楽しく面白い

みなさんは、小学校四年生の頃、国語の授業で「ごんぎつね」を読んだことを覚えているでしょう。主人公の小ぎつね「ごん」は、いたずらばかり繰り返す。ある秋、兵十のウナギを盗んだことを後悔したごんは、つぐないに栗を届けます。けれども、ごんは、兵十に火縄銃で撃たれて死んでいく…。兵十に「おまえだったのか」と聞かれて、目をつぶったまま、うなづくごん。最後のクライマックス場面は、多くの読者の胸に悲しく残っていることでしょう。ところで、あなたの心の中にいる、ごんは、「まだ幼い子ども」、それとも「一人前の大人」ですか?一人で読む読書なら、それは読者の自由な想像に委ねられます。でも、国語の授業は違います。人物についての大切な設定をみんなで共有した上で、一人ひとりが自分らしい感想をもつことが重要なのです。「どんな意見もみんないい」という国語授業は、曖昧で楽しくない。書かれていることばを詳しく読んで自分らしい感想をもち、仲間と伝え合う学びこそ面白い。そんな「ごんぎつね」の授業ができる先生になりたいなあと思います。さて、ごんは子どものきつね?いいえ、ごんは、一人前の若者きつねです。

物語を読むことは、たくさんの人の
たくさんの人生に出会うこと

国語教科書には、「ごんぎつね」をはじめ、多くの物語が載っています。授業を通して、子どもたちに物語の面白さを教えることが、小学校教師の大きな仕事です。優れた物語には人間が生きることの真実が描かれています。一つの物語に一つの人生、多くの物語を読むことは、数え切れないほどの多くの人の多くの人生に出会うことです。読書は、自分という「小さな人」を「素敵な人」にと、きっと育ててくれます。

二瓶 弘行教授

専門分野
国語教育、学級経営、教師教育、教員養成

筑波大学附属小学校で24年の国語教師生活を経て着任。教育実践書を数十点、出版。47都道府県すべての数百の街々で、小学生との飛び込み授業や先生方との研究会を行う。今の生きがいは、小学校教師を志す学生に仕事の素敵さと大変さを伝え、教室現場の若い先生方に国語授業づくりの面白さと難しさを伝えること。20歳でガンダーラへ一人旅、その後東の西安や敦煌、西のローマも訪問。いつかシルクロードの十字路・アフガニスタンへ旅するのが今の夢という。

国語教育の著作は多数
学校教員のバイブルになっている。